生乳を低温殺菌してモッツァレラを製造する場合に知っておくべき、生乳の温度履歴とヒステリシスについて

今年になってからモッツァレラチーズ作りを二回失敗したことがあります。一回目は途中経過は問題なく、pHが5.20を下回ったときに水を入れて発酵を止めました。練圧は6個に分けた塊を一個づつ整形していくのですが一個めの練圧の段階で伸びがなかったり、切れたりしていましたので失敗したと思い。加工をやめてカードを冷凍し、後日溶かして型詰して乾燥させてからシュレッドチーズにしました。
2回目は1回目よりレンネットを入れるpHを下げpH6.35としてあとは同じように作りました。練圧は最初のものより二番目のものと言うように最後のものほど良く伸びるようになりました。
何が原因なのか調べていくうちに低温殺菌が原因ではないかと思い至り、低温殺菌乳(65℃30分と72℃12秒を含む) の温度履歴とヒステリシスについて論文で調べてみると低温殺菌乳は殺菌直後はpHが0.1から0.2位低くなることと、その原因が加熱によりカルシウム分布が非平衡になることが原因で、この平衡が崩れた状態は履歴として残り、冷却後一晩を置くことで平行状態に近づくようです。また、このカルシウム分布の平衡状態はモッツァレラのストレッチ性に大きく影響を与えているようです。
これらのことから低温殺菌乳でモッツァレラを作る場合はpH5.1で発酵を止めてストレッチテストを行い、伸びなければ、カルシウム分布を平衡状態に近づけるため、そのまま二、三十分時間を置いておくことが良いようです。この場合pHではなく伸びるようになることが重要なようです。ストレッチテストを繰り返す必要があります。
なお、生乳で作るモッツァレラの場合はカルシウム分布の平衡状態が崩れていないのでpH5.2から5.35でよく伸びるようです。

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