一回目のブラッシング

カビ熟成中のゴーダチーズ、カビが全面を覆ったので一回目のブラッシングを行った。
カビの飛散を防ぐためビニール袋の中でカビ落とし、結構な量のカビが取れた。
ブラッシングでカビの胞子が全体にほぼ均等に付着していると思うので一回目より多くのカビが出てくることを期待している。

The Gouda cheese, which is being aged with mold, was completely covered with mold, so we brushed it for the first time.
To prevent the mold from scattering, we removed it inside a plastic bag, but more mold came off than we expected.
We believe that the brushing has distributed the mold spores almost evenly throughout the cheese, so we expect more mold to grow next time.

亡くなったチーズ作りの先生から、「チーズの表皮に自然に生えるカビは、必ずしも悪いものではなく、水分の調整やタンパク質・脂質の分解に役立つ」と教わりました。しかし私は、見た目や風味が気になり、青カビなどが出ると塩でしっかり落としていました。
改めてゴーダチーズに生えるカビについて調べたところ、多くの資料では青カビなどが出た場合、塩や酢で綺麗に除去するよう勧められています。
一方で、海外のチーズ作り動画では、ゴーダチーズではないものの、カビだらけの状態で熟成させている例もあり、「カビが天然の真空パックのような役割をする」と語る人もいます。
私自身の経験では、黒カビはチーズの内部に入り込む傾向がありますが、それ以外のカビは表皮にとどまり、内部までは入らないように感じています。
そこで今、黒カビ以外のカビを使ってゴーダチーズを熟成させた場合にどんな風味になるかを確かめる実験を行っています。

My late cheesemaking teacher taught me that mold, which grows naturally on the rind of cheese, is not necessarily bad and helps regulate moisture and break down protein and fat. However, I was concerned about the appearance and flavor, and when blue mold or other molds appeared, I would remove them thoroughly with salt.
When I looked up mold on Gouda cheese again, I found that many resources recommend that if blue mold or other mold appears, it should be removed cleanly with salt or vinegar.
On the other hand, some foreign cheesemaking videos, although not Gouda, show examples of cheeses being aged with mold all over them, and some people say that the mold acts like a natural vacuum pack.
In my own experience, black mold tends to penetrate into the interior of the cheese, while other molds seem to stay on the surface rind and not penetrate into the interior.
So now I am experimenting to see what flavors Gouda cheese will have when aged with molds other than black mold.

チェダーチーズ作り他

昨日は仲間とチェダーチーズ作り、アナトーを入れて黄色からオレンジ色に、プレーンの他に胡椒や胡桃を入れたものやワインチェダーにしたものを作りました。3ヶ月後が楽しみです。

また、4月4日に作ったゴーダチーズでカビが生えることでどのように熟成するか実験を行っています。板を敷いたケースの中で温度13℃、湿度85%程度で熟成させています。カビはチーズの水分調整を行いタンパク質を分解する酵素を出していると言われています。また、全体がカビで覆われることで天然の真空パックのようになると言っている方もいます。今回は全体にカビが生えたら時々ブラッシングし、3ヶ月後にカビが生えなかったチーズと食べ比べをするつもりです。実験結果をお楽しみに。

カマンベールチーズ製造時の乾燥について

カマンベールチーズの一次熟成に入る前の乾燥について、レシピによっては

 塩が完全に溶けて浸透してから、約15~18℃、湿度65~75%の部屋で乾燥させます。
 湿度が高すぎる場合は、低出力のファンで風を送ります。乾燥には1~2時間、場合によっては4~5時間かかることもあります。
 表面に水が残っていたり、水たまりができている場合は、乾燥が足りていないサインです。表面がしっかり乾くまでは熟成スペースに移さないでください。

とか、

 表面の水分がなくなるまで乾燥させます。
 湿度が高い場所では小型の扇風機が必要な場合もあります。理想的には14-18℃、湿度60-75%の部屋で行います。数回ひっくり返すことで乾燥が促進されます。

などと色々な表現で乾燥について書かれています。しかし、どういう状態が良いのかイマイチかわかりません。

私は乾燥工程では2〜3時間ごとにひっくり返すのですが、この時間ではチーズ内部の水分が下に下がり必ず下面が濡れています。

両面を長い時間をかけて乾燥させると白カビが生えないことや乾燥が足りないと白カビは生えますが、熟成中にひっくり返すときヌルッとして白カビが剥がれるということも経験しまた。

そこで乾燥については1時間毎にひっくり返し、上面と下面が同じ状態になれば乾燥終了とすることにしました。

現在一次熟成中のものはこの方法を採用したものですが、今のところジオトリカムの白カビも全体に綺麗に生えていて、手入れ中に白カビが剥がれることもありません。

4月の予定

17日〜18日はチェダーチーズを19日〜20日はゴーダチーズを26日にはモッツァレラチーズとストリングチーズを更別のふるさと館で作ります。使用するレシピや製造の様子などは再度ブログでお知らせします。

5月は今のところパルミジャーノを、家では白カビチーズとアザミレンネットを使用するカルドーナチーズを作る予定です。

カマンベールチーズ作り

昨日はカマンベールチーズの熟成を勉強していただくためにチーズを16個作りました。カマンベールチーズは製造工程も少なく、比較的簡単に作ることができ、家庭で熟成方法をマスターすれば、自分の好きな硬さやとろけ具合のチーズを作ることができます。
6人の方が2〜3個ずつ持ち帰り熟成の勉強をする予定です。

4/7 カマンベール
07:13 乳酸菌、カビ菌添加  pH6.50  30.6℃
 乳酸菌 : FLORA DANICA
 カビ菌 : PCA1,Geo CH
08:13  pH6.50  30.6℃
10:00  pH6.45  30.6℃
10:13  レンネット(150IMCU) 5.3ccを20倍に希釈して添加
    11分30秒で凝集、凝集時間の5倍(レンネットを入れてから約1時間後にカット)
11:15 カット
10分間放置
型詰

4/8
07:50 脱型 pH4.95
塩漬け

久しぶりのゴーダチーズ作り

昨日今日は久しぶりに仲間とコーダーチーズを作りました。
牛乳は100ℓで2kgのチーズが6個できました。

2年もののパルミジャーノ風をカットしました。さすが2年ものは味が濃く、アミノ酸のシャリシャリも感じられました。このチーズは毎年6月くらいに作りたいです。

17日18日はチェダーチーズを作る予定です。

チーズプレスが出来ました。

重りを吊り下げる位置にもよりますが、一番端に重りを下げるとチーズに加わる荷重は吊り下げた重りの約8.5倍くらいになります。
2リットルのペットポトルを下げるとチーズには17kgの荷重が加わります。


セミハードやハードチーズを作るときに使用します。

チーズプレレスを作ります。

重りを乗せ水平に保つチーズプレスは持っているのですが、重りを数種類持っている必要があり不便なのでテコの原理を応用したチーズプレスを作ることにしました。

図面が出来たので、材料をそろえて加工に入ります。出来たら写真を掲載します。

凝乳酵素の使用量や固まった凝乳をカットするタイミングについて

チーズを作るためのレシピにミルクを固めるための凝乳酵素(以下レンネットと表記)として単一強度レンネット(シングルストレングスレンネット)と書かれていることがありますが、専門的な用語でどのようなものか分からないということを聞くことがあります。そこでこの用語やレンネットの使用量、固まった凝乳をカットタイミングについて簡単に説明します。

レンネットの必要量
単一強度レンネット(シングルストレングスレンネット)とは、pH6.5で温度30~32°Cのミルク1,000kgを30~40分間で固めるのに200mlで足りるレンネットの力価と考えられています。国際規格ISO11815(2007)で定義された International Milk Clotting Unit (国際ミルク凝固単位 ( IMCU/ml or g : レンネットの力価))で言うと約250IMCU/mlとなります。
すなわち1kgのミルクを固めるのためには、50IMCU/mlの力価を持つレンネットが必要ということになります。このことから使用するレンネットのIMCU値とミルクの量が分かればレンネットの必要量を次の計算で求めることができます。

ミルク量 ( kg ) × 50IMCU/ml ÷ 使用するレンネットの力価 ( IMCU/ml ) = 必要量 ( ml )


カッティングのタイミングを決める方法
ミルクにレンネットを加えた後、固まるまで待ち、適切なタイミングでカットする必要があります。その方法には、以下の3つがあります。

1. 固定時間法
レシピに指定された時間を待つ方法ですが、ミルクの種類や酵素の強さなどが影響するため、正確ではなく推奨されません。


2. クリーンブレーク法
15~20分待ってからカードをカットする方法です。適切なタイミングは、カット時の割れ方やホエーの透明度で判断します。経験が必要になります。


3. 凝集点法(最も正確な方法)

凝乳が形成されるタイミング(TP)を測定し、チーズの種類ごとの係数を掛けてカット時間(TD)を算出する方法で、チーズの品質を安定させるために最も正確な方法です。



・凝集点法の手順
 ・レンネットを加え、タイマーを開始する。
 ・7~8分後、ペットボトルのキャップなどをミルク
の表面に置き、回転するか確認する。
 ・9~10分後にわずかな抵抗が出るので、30秒ごとに
キャップを回してチェック。
 ・10~14分の間にキャップが動かなくなったら、これが凝集点(TP)。
 ・TPに係数を掛け、カット時間(TD)を計算する。

   例:
    TP=10分、係数=4の場合
    TD=4×10=40分
    9:00にレンネットを加えた場合、9:40にカット可能


係数はチーズの水分含有量に影響し、チーズの種類によって異なります。また、適切な凝集点法を用いるには、TPが10~17分になるようにレンネット量を調整する必要があります。範囲外の場合は、次回の製造時に調整してください。

チーズタイプ別の凝集係数
Swiss , Alpin types , Parmesan , Romano etc.   2
Gruyere                    2.5
Wensleydale , Manchego             3
Cheddar , Gouda , Hard British , Havarti etc.    3
Jack , Caerphilly                 3.5
Feta , Blue , Mozz , Halloumi , etc         4
Camembert , Brie , Stilton , etc          5

カマンベールとラクレットのその後 ( 3月26日 )

カマンベールチーズに毛足の長い白カビがだんだん増えてきました。
今週末か来週初めには二次熟成に入ります。


ラクレットチーズの毎日ウォッシュは今週末で終わり、その後は週に2回程度ウォッシュし、表面がオレンジ色になってきたらウォッシュ以外の日はブラッシングする予定です。

カマンベールチーズ、ラクレットチーズとクリームチーズを作りました。

本別町のゲンキッチンという食品加工施設で、20ℓの生乳で370g程度のカマンベールチーズを16個、クリーム層を取り除いた35ℓの生乳で3.3kgと1kgのラクレットチーズを作り、取り除いたクリーム層でクリームチーズを作りました。

カマンベールチーズ ( 乳酸菌フローラ・ダニカ、ジオトリカム、ペニシリウム使用 )

ラクレットチーズ ( 乳酸菌CHN-19とブレビ・バクテリウム使用 )
塩漬け中のラクレットチーズ、今回は塩を擦り込む方法で3日間塩漬けしてから表面乾燥し熟成とウオッシュを行います。

塩漬け中のラクレットチーズ、1日に一回反転しています。

クリームチーズには乳酸菌R-704を使用しました。

今日はモッツァレラチーズ作りをしています。

前回、柔らかいモッツァレラチーズが出来なかったので、作り方を変えてリベンジです。

水分量とカルシウムの落とし方を工夫して柔らかいチーズは出来ましたが、今ひつと柔らかさ(練り?)が足りないような気がしています。
納得のいく柔らかいチーズができましたらレシピをアップします。

夕食は、頂き物の「せとか」でカプレーゼです。チーズと甘い柑橘はよく合います。

カマンベールチーズ作り

昨日、チーズ作りの仲間がカマンベールチーズ の熟成体験ができるようにするためカマンベールチーズを18個作りました。
体験は塩漬け、乾燥を行なってから1人2個づつ持ち帰ってもらい、それぞれの家の環境で熟成をしていただくというものです。
カマンベールチーズの熟成ができるようになれば、チーズ製造自体はセミハードより工程が少ないので作りやすいかなと思います。

昆布締めワインチェダーです。

昨年3月に作ったワインチェダー、塩漬けが浅かったので家にあった日高昆布で昆布締めにしてみました。湿らせた昆布にチーズを包み、さらにクッキングシートで包み真空パックしました。5日目で食べてみると昆布の塩味と旨味がチーズに移り、ちょうど良い具合でワインの香りも相まって美味しいチーズになりました。セミハードチーズを昆布締めにするのはいいですね。北海道らしさが倍増します。

カマンブルーチーズと黄麹を入れたカマンベールチーズをカットしてみました。

4日前にカマンブルーチーズをカットすると青カビが成長しておらず、失敗したかなと思い味見をせずに再度パッキングしました。本日確認したところカットした面に層状の青カビが出ていて、味と香りはブルーチーズでした。白カビは強く開けた穴の内側にも生えていました。
黄麹を入れたカマンベールチーズの方は黄麹による組織の変化はありませんが、味や香りはプレーンのカマンベールよりも優しくて甘く、麹の香りがします。
両方ともさらに熟成させて変化を見てみたいと思います。

青カビをもう少し強めに出すためには、クッキング工程と穴あけ方法の変更が必要かなと感じています。どちらのチーズも課題がいくつか見えてきたので再度挑戦してみます。

チェダーチーズとモッツァレラチーズ作り

チェダーチーズはアナトーが少なかったことから少し色の薄いものでしたが、塩漬け時のカードを食べてみるとミルク感があり美味しくできていました。チェダーのホエーで作ったリコッタチーズにも色がつきました。

モッツァレラチーズは修正したレシピで作りましたが、出来あがたカードの水分量が少なかったことからストリングチーズに変更しました。モッツァレラのホエーで作ったリコッタチーズはpH調整を行ってから作ったのでうまく出来ました。


今回のモッツァレラ作りで学んだことが幾つかあったので次回の製造に活かしてみるつもりです。柔らかいモッツァレラができるようになったらレシピを公開します。

チェダーチーズとモッツァレラチーズ作り

2月1日はチェダーチーズ作り、2日はモッツァレラチーズを作ります。
チェダーは奥さんからの要望でアナトーを入れてプレーンで作ります。モッツァレラは柔らかくミルク感のある仕上がりを目指して、低温殺菌温度と殺菌時間の変更、凝固剤を入れるタイミング、整形するタイミング、整形方法の見直しを行い、仕上がり具合を確かめ改善する点を明確にしたいと思っています。
いずれも20ℓの生乳で作る予定で、製造の様子や結果については後日報告します。

チーズ製造の際のカルシウムとリン酸の重要性

以前にチーズ作りのための資料紹介で取り上げた以下の論文の日本語訳を作成したので改めて掲載します。

「Importance of Calcium and Phosphate in Cheese Manufacture: A Review 」

J. A. LUCEY 
Teagasc
National Dairy Products Research Centre 
Moorepark, Fermoy 
County Cork, Ireland

P. F. FOX 
Department of Food Chemistry University College Cork
Cork 
County Cork, Ireland

「 チーズ製造におけるカルシウムとリン酸塩の重要性: 総説 」

青カビと黄麹を入れたカマンベールチーズ


穴の開いている方が青カビで特有の匂いがしています。黄麹の方も麹が発酵した甘い匂いがしています。もっと白カビが増えてきたら二次熟成に入ります。

The one with holes has a distinctive smell from the blue mold. The one with yellow mold also has a sweet smell from the fermented koji. When the white mold increases more, it will enter the secondary aging process.

クリームチーズと胡桃とオレンジの皮を入れたケアフィリーチーズ作り

生乳20ℓから2ℓのクリーム層を取り出し、クリームチーズを作り残りの生乳で胡桃とオレンジの皮を入れたケアフィリーチーズを作りました。

クリームチーズは硬めに仕上げるために2日間ホエーを抜き、700g〜800gできました。

ケアフィリーチーズはアナトー色素を少し入れたので黄色くなり、オレンジの皮が目立たなくなりました。