スターターに表示されている単位について

チーズを作るときに乳酸菌を入れますが、乳酸菌の袋に書いてある50Uや25DCUが何を意味していて、どの程度使えば良いのか不明でした。調べてみてCHR.Hansenの乳酸菌については理解しましたが、他のメーカーのものは単位が違いどれくらい使えば良いのかわからないことから、主要なメーカーであるDaniscoとCHR.Hansenの単位の意味と違いについてChatGTPに教えてもらいました。

Danisco(現在は IFF/DuPont 由来ブランド)とCHR.HANSENは、どちらも凍結乾燥スターター(DVI: Direct Vat Inoculation culture)を販売していますが、スターターの量を表す単位系が会社ごとに独自です。
そのため「10 DCU」と「10 U」は同じ意味ではありません。
以下で科学的・実務的に整理します。

  1. Danisco の「DCU」の意味
    DCU = Direct Culture Unit(Danisco Culture Unit)
    これは「一定の発酵活性を持つスターター量」を表すメーカー独自単位です。

特徴
・重さではなく発酵能力(活性)で規格化
・バッチごとの菌数変動を補正するための単位
・DVIスターターをどのくらいのミルクに接種できるかを示す

Daniscoの技術資料では1 DCU ≈ 約10 Lのミルクを接種する基準量と説明されています。
またスターターの仕様例では1 DCUあたり ≥10¹⁰ CFU(最低100億菌)と規定されています。

CHOOZIT MA11 の場合

表記           意味
25 DCU    約250 Lのミルクに接種できる活性
10 DCU   約100 Lのミルクに接種できる活性
・実際の使用量はチーズ種類によって変わる。

  1. CHR.HANSEN の「U」の意味
    CHR.HANSEN のU = Unit も同じく「スターターの発酵活性量」を示す単位です。
    ただし、定義はDaniscoと別です。

一般的な考え方
1 U = 一定量のミルクを標準条件で発酵させる活性

研究資料では
10 U の凍結乾燥スターター ≈ 1 L のバルクスターターという換算が示されています。

また市販製品では

50 U パック → 数百Lのミルク用というように設計されています。

  1. 「10 DCU」と「10 U」の違い
    最重要ポイントです。
    両者は同じ単位ではありません。 項目 Danisco CHR.HANSEN
    単位 DCU U
     正式名称   Direct Culture Unit    Unit
     定義      Danisco独自     Hansen独自
     基準     約10 L/1 DCU     製品ごとに設定
     比較     直接換算不可
    つまり、10 DCU ≠ 10 Uです。
    理由はスターターの菌密度、凍結乾燥の生残率、酸生成速度、試験条件が会社ごとに違うためです。
  1. なぜ重量ではなく「U」「DCU」で売るのか
    凍結乾燥スターターはバッチごとに菌数が変わる、凍結乾燥で菌が死ぬ、粒子サイズが違うためメーカーは標準ミルクでの酸生成試験を行い、pH低下速度、ΔpH、酸生成能力で活性を測定して単位を決めています。つまりスターターは重量では、全く意味がないからです。

  2. 実務上の理解(チーズ工房向け)
    工房で重要なのは次の理解です。
    Danisco
    1 DCU ≈ 10 Lミルク接種能力(目安)
    CHR Hansen
    Uは製品ごとに定義
    パッケージの「○L用」を優先
    つまりメーカーの推奨添加量をそのまま使うのが基本です。

  3. 参考(実際の製品例)

    ・CHR.HANSEN CHN-19 → 50 U
    ・CHR.HANSEN STI-12 → 50 U
    ・Danisco MA11 → 25 DCU
    これらは同じ50でも活性量は全く違います。

  4. プロのチーズ工房での扱い
    工業工房では実際には
     ○U / 100 L
     ○DCU / 100 L
    という乳量基準で管理します。

以下に、実際のチーズ工房でよく使われるChr. HansenとDanisco (IFF)の代表的スターターについて、
・単位
・想定接種乳量
・主菌種
・酸生成速度
・チーズ適性
を実務比較表として整理します。

チーズスターター活性比較表(U vs DCU)

※乳量はメーカー標準条件(通常0.5〜1%接種相当)

DCU と U の実務的換算イメージ
完全な換算式は存在しませんが、工房の経験的には次のイメージです。

活性目安      Danisco     Chr.Hansen
小型工房バッチ   10 DCU     約50 U
中型工房      25 DCU     約100 U
大型バット     50 DCU     約200 U

つまり実務感覚では
10 DCU ≈ 50 U(かなり大まかな目安)になります。
理由
・ 菌密度
・凍結乾燥保護剤
・酸生成試験条件
がメーカーごとに異なるためです。

菌密度(CFU)の実際
凍結乾燥スターターの典型値
メーカー 単位 CFU目安
Danisco   1 DCU    約10¹⁰ CFU
Chr. Hansen 1 U     約10⁹〜10¹⁰ CFU

つまり
1パックの総菌数**
製品      CFU目安
10 DCU     約10¹¹
50 U     約10¹¹〜10¹²

酸生成速度(重要)
チーズ設計では酸生成曲線が重要です。
スターター    pH6.6→5.3
Flora Danica    5–6 h
CHN-19      4–5 h
MA11       3.5–4.5 h
TCC-20      2.5–3.5 h
STI-12       2–3 h

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