ウォッシュタイプチーズについて

以前アザミレンネットを使ったカルドーナというスメア熟成チーズ(ウォッシュタイプチーズ)やラクレットチーズ、モンドールもどきチーズを作ったことがあります。当時はこのタイプのチーズに使用するGeotrichum candidumとBrevibacterium linensの役割や配合、スメア熟成の方法ついて、レシピに頼るだけであまり詳しく調べていませんでした。そのためレシピに書かれているように熟成をすると表面がベタついたり、白カビが異常に繁殖したりすることがありました。
ウォッシュタイプのチーズは表面がオレンジ色で臭い独特の香りがあり好き嫌いが分かれるチーズですが、カルドーナはパンなどに塗って、ラクレットは溶かしてかけて食べると美味しいため常備しておきたいチーズの一つです。

そこでGeotrichum candidumとBrevibacterium linensの関係や配合する場合の割合、管理方法などについて調べてみました。
Geotrichum candidumとBrevibacterium linensの役割と関係
1.Geotrichum candidum
熟成初期に発育して、白い「薄いカビ膜」を形成し表面をアルカリ化(pH上昇)することで、酸に弱い B. linens やその他表面細菌が生育しやすい環境を整えるほか、表皮の乾燥や不要カビ(黒カビ・青カビなど)の侵入を抑える役割もあることがわかりました。
2.Brevibacterium linens
表面に特徴的なオレンジ~赤色の表皮を作り、硫黄系・動物的な香り(ウォッシュ系チーズ特有の香気)が主体。
成長には塩分とアルカリ性環境が必要であり、Geo がその環境を整えてくれる。

つまりGeo が「先行菌」として環境を作り、B. linens が「後続菌」として個性を強く与える 相利関係 にあることがわかりました。

GeoとB.linensの配合比率の目安は
Geoは乳酸菌スターター量の 0.1% 〜 0.3% 程度
B.linensは乳酸菌スターター量の 0.01% 〜 0.05% 程度
実際にはGeo:B. linens ≈ 10:1 ~ 100:1 のオーダーで配合することが多いようで、Geo を多めにして初期環境を安定させ、B. linens は少量を植え付けるという具合です。
また、チーズの種類(ウォッシュ系、セミハードのリネンス仕上げなど)よってはバランスが変わlり、Geo が少なすぎると B. linens が育ちにくく、逆に B. linens を入れすぎると表面がべたつきやすく、過度な匂いや異常発酵を起こすことがあるほか熟成庫の湿度・塩分管理によっても生育バランスが左右されるようです。

これらをまとめると
・Geoは多めに、B.linensは少なめが基本。
・GeoがpHを上げてからB.linensが定着するためには比率を 10 : 1 〜 100 : 1とすること。
・塩水洗浄の回数でB.linensの活動をコントロールすること。
・湿度が低いとGeoが働かず湿度が高すぎるとB.linensがベタつくので注意すること。


今回調べてみてGeotrichum candidumは色々なチーズでカビを防ぐ目的で使ってみるのも面白いのではと感じています。

皆さんもぜひウォッシュチーズに挑戦してみてください

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